彼らの見る先の世界

欲望こそがアイデンティティ.

きっと永遠などないのだろうけれども、

タキツバ解散、タッキー引退、翼くん退所のニュースを受けて。

 

私もかくゆう東のタッキー、西のすばる世代ど真ん中なわけで。

今から十数年前、テレビでタッキーを初めて見て、月並みだけど身体に衝撃が走った。生まれて初めて見た綺麗な男の子。生まれて初めて夢中になったアイドル。そっから沢山テレビを見て、雑誌を買って、きゃーきゃーきゃーきゃー言っていた。私タッキーの切り抜きいーっぱい持ってたんだよ。タッキーが表紙の雑誌だって、いーっぱい持ってたんだよ。8時だJとか、Mステとか、MJとか、少クラとかタッキーが出てたテレビだっていーっぱいビデオに録画してたんだよ。ドラマだって、当時22時とかまで起きてるの辛かったけど、頑張って見てたんだよ。ニュースキャスターの女とか好きだったなぁ。

翼くんだって。翼くんがドル誌で話してたこととか今でも覚えてるよ。素顔3の翼くんのソロシーンなんて、文字通り擦り切れてところどころ映らなくなるくらい見たんだよ。翼くんの切り抜きだっていーっぱい持ってたんだよ。ソロコンのDVDだってほとんど持ってるんだよ。翼くんが出てたサマースノーってドラマも、好きだったなぁ。

すばるくんもだよ。初めて見たときの衝撃はまだ覚えているよ。正統派の美少年でキラキラアイドルのタッキーに対し、少し尖っていて儚くてでも強い瞳が印象的だったすばるくん。愛してる愛してない、MAJIDE、タキツバ山Pを従えて歌っていたShelter、私今でも当時のビデオ持ってるよ。あまりアイドルらしく振る舞うのは得意ではなさそうだったけれども、彼のカリスマ性というか唯一無二の存在感やパフォーマンスは本当に多くの人の心を奪ったのは間違いなくて。

その後2人はタッキー&翼として、私がジャニーズ離れをしている間にすばるくんは関ジャニ∞としてデビューして、黄金期は私にとってはJr.の時から見ていた最後の世代だったので、ちょこちょこ歌番組で見たりはしていた。タキツバは元々多彩な才能を待つ2人がそれぞれに輝ける場所を、関西こってこて曲を歌っていた関ジャニ∞も、いつの間にかバンドのイメージが強くなっていて、バラエティでの活躍もめざましく、外野ながら勝手に、不器用でシャイな彼もやっと落ち着ける「居場所」を、それぞれに見つけたのかなぁ、とぼんやりと思っていた。

KAT-TUNに出戻った後も、私個人としてはあまりタキツバや関ジャニ∞には興味がなくて、熱心に追いかけたことはなかった。けど一昨年のクリスマス、縁あって関ジャニ∞のエイターテイメントのライブにお邪魔させてもらう機会があって。会場に向かう電車は、メンバーカラーを身につけた人でとてもカラフルで、テーマカラーが黒!って感じのKAT-TUNファンとしては、とても新鮮だった。中でも「メンバーが入所した後に生まれた」ような中高生くらいの若い女の子達がカラフルな色に包まれているのを見た時、なんだかじんわりとした気持ちになった。

あの日初めて生で見た「アイドル:関ジャニ∞」はべらぼうにかっこよかった。だって思わずその後出たDVD(しかも初回限定盤)買っちゃったくらいだもん。あんなに好きでソロDVDもほぼ持っている翼くんのパフォーマンスも、生けるエンターティナー滝沢秀明のパフォーマンスも、ついぞ生で目にすることはなくあっけなく終わりを迎えてしまったことを思えば、「アイドル:渋谷すばる」を一度でも生で見ることが出来たのはとても幸運だったのかもしれない。

タッキーを見てジャニーズを知り、翼くんにキャーキャー言って、すばるくんで歌を覚えて、そんな黄金期にジャニオタになった私には、タキツバすばるの3人は、ずーっとずーっとトップアイドルで。デビューしてからのこととかか、最近のこととか、大して知らないんで、大きなこと言えたもんじゃないんだけど、それでもやっぱりそんな3人がアイドルではなくなってしまうのはとんでもなく悲しいなぁ。だって一時代築いたどころじゃないよ、ほんと。沢山の人たちの「最初のアイドル」になったんだよ。今あなたが好きなあの子もこの子も、みんな3人の背中を見て育ったであろうに。偉大な背中は、もういなくなってしまうんだなぁ。

私たちの見ている「今」に永遠など本当は存在しなくて、私たちの望んでいる「夢」は、彼らの多大なる努力と我慢と優しさで成り立っているエンターテイメントなのだと、本当に改めて思わされる。好きになったアイドルが、アイドルではなくなることは、とんでもなく悲しい。「アイドルには永遠にアイドルでいてほしい」。私がアイドルに望む、唯一にして最大のワガママだ。別に恋愛しようが、結婚しようが、パパになろうがなんだっていい。ただアイドルとしてステージで生きて、いつまでもキラキラしていて欲しい。けど、アイドルである前に1人の人間である彼らに、それを望み押し付けるのは、実は酷なことなのかもしれない。

私がかの昔ジャニーズ離れをする時、最後に一番好きだったのは風間くんだ。昨今活躍がめざましい彼は、アイドルではないけど、成功した一つの形だとは思う。けれどもそれでもやっぱり「アイドル:風間俊介」が好きだった私は、彼にもアイドルとしてステージでキラキラ歌って踊って欲しいな、と今でも思う。だって私は歌って踊っている彼が好きだった。

出戻りの要因となった田口くんもご存知の通り、今やアイドルとしての肩書きは置いてしまった。アイドルではないけれど、彼は今でもステージで生きて、パフォーマンスしている。それはとても喜ばしいことでもあるけれど、やはり新しい田口くんを見れば見るほど、アイドルであった田口くんが恋しくなるジレンマにかられる。私は一生「アイドル:田口淳之介」に焦がれるだろうし、それを奪った田口くん自身を許せないと思う。

今後、翼くんは病気が良くなれば。すばるくんは環境が整えば。また新しくパフォーマンスする彼らに会えることもあるだろう。でもそれは、別フォルダに新規作成される新しい別の彼らであって、私が好きで夢中になったアイドルじゃないんだよなぁ、と思うと切ない。

なんていうか、私が好きになったアイドル達がどんどん過去や思い出になっていくのが、とんでもなく寂しくてやるせない。彼らは永遠に私の心の中でアイドルとして生き続けるだろうけど、それでも悲しい。「今」や「未来」を望めないのが、悔しくてもどかしい。

人生捧げてアイドルしてくれてるのに、自分の気持ちとか願望ばっかり押し付けてごめんね。思春期や青春時代を、人生の全てを、捧げてアイドルとして生きてくれてありがとう。きっと私の好きなあの子が今アイドルなのは、君たちのおかげ。きっと今私がジャニオタなのも、君たちのおかげ。とにかくお疲れ様。沢山の感謝と愛を君たちに。また会える日まで。