彼らの見る先の世界

欲望こそがアイデンティティ.

私と横尾渉というアイドル

私はその本人のファンでも、所属グループのファンでもないので、該当ファンの方は不快に思われる内容だと思うので、閲覧注意でお願いします。吐き出したいだけなので、いつか消すかも。

 

 

 

 

 

 

運動会の時にとても気になった人がいた。それはキスマイの横尾渉さんのことだ。なんでかっていうと、私が見てた限り彼がアイドルらしい振る舞いを一回もしなかったからだ。ちょっと前に彼がスキャンダルというか、匂わせ彼女となんやかんやあったことは私も知っていたので、そのことで落ち込んでるのかな、とか、気にしてんのかな、とかだいぶ邪推した気持ちがあったからそう感じただけかもしれないけれども、それにしても彼は全然笑わなかった。開演前の練習のときにモニターにけっこう何回も写っていたけど、心ここにあらずでまずカメラに抜かれていることにも、気付いてない感じだった。その後紅組のベンチで横尾さんの隣にいた子3人くらいが(ごめん、私の視力じゃ誰かわからなかった)、カメラに抜かれては遊んでってしてて、ファンの皆さんも喜んでいたけど、横尾くんは全然自分は関係ないみたいな感じで、気付いてなかったのかもしれないけど、笑うどころかカメラの方を見る事もなかった。その後野球も出ずっぱり、PKも出て、沢山活躍の場があったと思うんですけど、特に彼の声を聞いた記憶もなく、え、なんかしてた?くらいの記憶で。(もちろん私が彼を追ってないってのはある)最後のパフォーマンスタイムで、キスマイはローラースケート履いて外周回ってくれたんですけど、みんなお手振りしながら笑顔でって中、横尾くんはずーっと笑いもせず手も振らずで、まぁおかげで逆に私見ちゃったよ!!!大丈夫かよ、こいつって!そりゃ私は彼らのファンではないので、これが横尾さんの平素の様子なのかもしれないですけど、いかんせん気になる。笑顔とファンサはアイドルの基本なんじゃないの!?怒ってるわけでも、ひいてるわけでも、悲しんでいるわけでもない。ただただ私は彼の様子が気になってしまったのだ。

 

 

そもそも私にとって横尾さんはずーっと色んな意味で気になる存在だった。私が彼を初めて見たのは、今から10数年前、私がジャニオタ小学生だった頃、裸の少年に今日から加わる新メンバーとして出ていた時だった。その日は多分草野くんとシゲとまっすーあたりと4人で新メンバーとして登場していたのだけれども、当時の私にはあまりにも横尾さんと草野くんの顔が好みじゃなさすぎて、というかはっきり言えばブサイクだと感じ過ぎて、思わずテレビの前で固まったから強烈に覚えている。え、こんな程度でもジャニーズ入れるの?嘘...って思うくらい、当時の私にとって横尾さんのビジュアルは好みじゃなかった(ちなみに草野くんも)。そのあとも私の中で横尾さんは全く興味の湧かない存在で、その後K.K.Kityというユニットで、千年のLove Songを歌ってたところで私の中の横尾渉の歴史はいったん止まっていて(ってか色々調べてたら今この曲はキスマイの曲になってるのね、びっくり)、次に横尾渉というアイドルのを見たのは、もうKis-My-Ft2になった後で、キスマイのルックスが全員ホストみたいでギラギラしていた時だったと思う。その時は全くジャニーズに興味が無かったので、私がジャニオタ小学生だった頃からいた藤ヶ谷くんと横尾さんしか、キスマイのメンバーのことはわからなかった。藤ヶ谷父さんからグループのセンターにまで成長を遂げた藤ヶ谷くんと、チャラついた横尾さんのルックスの変貌ぶりに驚いたけれど、まだ頑張ってるんだな〜とぼんやり思った。

そっからまた全くジャニーズに興味のないまま数年を過ごし、2014年夏に突如としてKAT-TUNのDVDを購入して、その冬、ジャニオタに出戻った時にはキスマイはもうキスマイBUSAIKU!?とかやってて、私の中の記憶のK.K.Kityでもなく、ギラついたホスト風味でもなく、バラエティ受けする、でもキメるときはキメる、そんな立派なアイドルだった。私の中でずーっとタイプでもなく、興味もなかった横尾さんに対するイメージが変わったのもこのあたりだった。歌えない、踊れない、喋れない、演じれない、顔もピカイチってわけじゃない(これは主観です)、そんなダメダメでポンコツなところにとても親近感を感じたのだ。おこがましいのはわかっているけど、なんていうか、私と横尾渉は似たタイプの人間なのだ。プライドが高く、不器用で、捻くれていて、でも変なところで真面目で、良くも悪くも嘘がつけなくて。そんなタイプの人間の生きにくさを、私は自分自身で嫌っていうほどわかっていたし、昔感じていた彼への嫌悪感は、同族嫌悪だったのだと気付いたのだ。私は接客業をしていて、もちろん接客業をしているならいつでもお客様に素晴らしい対応をしなければならないし、笑顔や気遣いも忘れてはいけない。わかっているけど、出来ない日もある。というか私は基本的に短気で、感情が顔や態度に出やすく、自分勝手な性格なので、全くもって接客業に向いてない人種なのだ。きっと横尾さんもアイドルが向いてるか向いてないかでいったら、多分向いてない人種だと思う。帰り道に今日の自分の仕事ぶりを振り返り落ち込むこともあるし、こうなんていうか足元が崩れる感じというか、急にヒュッと怖くなることもある。すごい反省して、明日からは頑張るぞって思っても、自分の体調や機嫌が良くないと、また全然完璧じゃない接客をしてしまい、落ち込むっていうループをずーっと繰り返している。つまりは一歩進んで二歩下がるような、へっぽこな人間なのであるが、なんていうか横尾さんを見ていると、そんな自分に重なるのだ。プライドが高い人間が、人の前で自分のダメなところをさらけ出して認めることをするのは、とても怖くて勇気のいることだ。自分をそこに落ち着けるまでが、すごく長いのだ。横尾さんを見ていると、社会人になってへし折られた、根拠のないくそ高いプライドや、自己評価の高さなんかの、そんなしょうもないものでガッチガチに自分を保身して、実はポンコツですっかすかな中身のない自分に、自信が持てないまま、でもあーだこーだ言いながら生きている自分自身に重なって仕方ないのだ。

でも、だからこそ、ポンコツなままでも世間に受け入れられ、また自らを省みて、一歩進んで二歩下がって、葛藤しながら、アイドルとして日々奮闘している横尾渉の姿は、私をずっと間接的に励ましてくれていたのだ。ダメなところがあっても、完璧じゃなくても、でもいいんだって、思わせてくれる存在だった。

きっとジャニーズに所属しているアイドルのほとんどは、私にとっては「完璧」に近い存在なのだと思う。かっこよく、歌もダンスも演技も努力して上手くなって、人間としてもちゃんとしたことを発言していて、人に愛されるべく、アイドルになるべくしてなった人ばかりのように感じる。私は彼らのそんなところがたまらなく好きだし、憧れるし、でもそんなところが眩しくて、羨ましくて、妙に彼らを現実的に感じない理由だった。けど横尾渉というアイドルには、コンプレックスがあり、卑屈で、 不器用で、自分と似ていて、変に生々しさを感じて、だから彼のことが気になってしかたなかった。横尾さんを見ていると恥ずかしくなったり、むず痒くなったり、手に汗を握ってハラハラしたり、でも、「頑張って!」って思わずにいられない、彼は私にとってそんな存在だった。自分の中で勝手に似ていると思っている横尾渉というアイドルが世間に認められるのは、自分自身すらも肯定されているような気持ちになれたのだった。だから私は勝手に心の中で彼のことを応援していた。それが愛情とか親愛する気持ちとか、そんな立派なものじゃないのはわかっていたけど、私は彼に、横尾渉というアイドルに頑張って欲しかったのだ。

このあいだの匂わせ彼女の件だって、私はどうとも思わなかったけれど、きっと彼は仕事に思いっきり影響出すんだろうな、とだけは思った。まぁ調べてみたらだいぶ彼女が香ばしい女というか、お、おん...と思わざるを得ない女で、これは彼女がいることではなく、彼女がこんな感じの人だったってことで、悲しんだり、怒ったり、呆れたりするファンの方は多いと思ったし、多かれ少なかれ余波はあったんだと思う。私があの大運動会の日、人生で初めて生で見た横尾渉というアイドルは、全然アイドルという仕事を全う出来てなかったと思う。私はキスマイのことも横尾さんのことも全く詳しくないので、結局どうなっているのかは全然知らないし、別にスキャンダルの影響があった訳でもなく、あれがいつもの彼なのかもしれない。いや、あれが「いつも」って時点でもうダメだけれども。けれど、「ポンコツ」を言い訳にしないでくれ、横尾渉。「横尾さんだから仕方ない」、で済まされようとしないでくれ、横尾渉。頑張ってくれよ、横尾渉。私は君に頑張って欲しいんだ。今回の件で謝ってほしいとか、誠意見せろとか、そんなことが言いたいんじゃない、ってかそんなことは1ミリたりとも思っていない。だけれども、不貞腐れて、仕事放棄してる場合じゃないぞ、横尾渉。白々しくても、今更でも、ちゃんと「アイドル」してくれ、横尾渉。そのまま腐っちゃおうにも腐りきれないんだ、どうせ。根は真面目だから。でも素直にもなれない、臆病者だから。どうせダメならダメなりに、顔上げて頑張ってくれ、横尾渉。普段ファンでもないやつが、勝手に自分を重ねて、好き勝手言って、図々しいお願いなのはわかっている。けれど本当に彼を見ていると、ダメな自分に重なって仕方なくて、頑張ってって言いたくなる。だから「頑張って」、横尾渉というアイドルよ。そしてもう一つ、髪切ってくれよな、横尾渉